特性を感じるエピソード(4)(初めてのケンカ?)

2021-07-08

ここまで結婚前の交際期間中から結婚後数年までの夫のエピソードを書いてきました。

特性を感じるエピソード(1)(結婚前編)
特性を感じるエピソード(2)(結婚直後
特性を感じるエピソード(3)(単身赴任中)

この間、モヤモヤやイライラをいろいろと感じつつも、不思議なことに「この人と別れたい」のような感情はありませんでした。

今回は、どちらかというと私の方の気持ちや対応を中心に、まだ子どもが生まれる前、ふたりで過ごしていた日々のことを書きたいと思います。

「嫁に怒られるから」とマメに電話する同僚が羨ましかった

夫が単身赴任中はとにかく連絡がつかないことにヤキモキさせられた私ですが、一緒に暮らしているときは「いつ帰ってくるのか分からない」ということにイライラする日々でした。

その頃、一緒に仕事をしている男性の同僚は、残業になりそうになると「あ、奥さんに電話しなきゃ怒られる」と携帯を持って席を離れ、電話をかけていました。それを私は、「いいなぁ」と羨ましく思っていました。だって、夫は私が泣こうが怒ろうが連絡なんてしてこないんですもん。

当時、私も忙しく仕事をしていましたが、夫に比べれば早く帰れる日が多く、自然と平日の夕飯は私が担当していました。

私が遅くなる日やとても疲れた日は、「どこかで食べてくるか買ってきて」と連絡していました。でも、私としては「なるべく作ってあげたいな」という気持ちもあり、「今日は疲れたし、『外食してきて』って連絡しようかな」と迷いつつも作ることが割とありました。

ところが夫はなかなか帰ってきません。仕方ないから先に寝て、朝起きてみると、テーブルの上の夕食は手を付けずにそのまま置いてある、ということがしょっちゅう……。私、朝からガックリです。

夫は深夜に帰宅していて「食べてきちゃった」とか「眠くて食べる気にならなかった」ということもあれば、会社に泊まって帰ってきていない日もありました。

「ご飯いらないんだったら連絡してよ!」と言うと「うん」と言うのですが、返事だけで実行されることはない。

これは困るので、朝出かけるときに「今日は晩ごはん食べる?」と確認するようにしました(前に書いたように、そもそも夫が起きてなくて確認できないことも多かったけれど)。そうすると、「あ、今日飲み会だからいらない」(こっちが聞く前に言ってよ!)というときもあれば、「食べる」と言って出かけていって結局食べない(確認した意味なし!)、ということもありました。

何時に帰るか、夕食がいるかどうか、事前に連絡できない理由

その日の夕方でいいから「ご飯いらないよ」と連絡してくれればすごく助かるのに、そのちょっとした連絡がなぜできないのか…。本当に不可解でした。

これも、ASDやADHD的な特性が影響しているのではないかと考えると、「できないんだな。仕方ないね」と思えてきます。

一番大きく影響しているのは、先を見通すのが苦手、ということ。

その日の朝、もしくは夕方になっても、「今日は何時頃に仕事を終えて帰れるか」の予測をつけることができないのでしょう。

夫は基本的に残業が多く、会社に泊まってくることも月に何度かありました。その頃は「大変な仕事を担当しているんだな〜」と思っていました。

でも本当は、先を見通して計画を立てるのが苦手、本当にやりたいこと以外はなかなか手を付けられない、といったASD、ADHD的な特性が影響して、他の人が定時上がりでできることも、多大な時間をかけなければ終わらなかったのでしょう。

逆に、興味のあることには過度に熱中してしまう(過集中)という特性が影響して、仕事として求められている以上にやってしまう、今日やらなくていいこともノッていると止められないという状態で、残業や徹夜になっていたことがあるんじゃないかと思います。

後者のパターンなんてまさに、「今日は家でご飯食べる」と言ってても、気づいたら終電がなかった、という状態なのでしょう。

初めてのケンカ? いや、ケンカにならなかった

作った料理が無駄になること以上に私をイライラさせたのが、なんの連絡もなしに外泊することでした。

「仕事が大変なんだなぁ」と思っていたので、時々徹夜になること自体は仕方ないと思っていました。

でも、そうだからこそ、「疲労で倒れてるのでは」「どこかで事故にあったんじゃないかな」みたいな心配もあるわけです。

何度も、「心配だから、泊まるときは連絡してね」と伝えていました。

それでも、朝起きてみると隣の布団がキレイなまま。着信履歴もメールもなし。「今どこにいるの?」とメッセージを送ると「会社に泊まった」と、なぜかこのときは返事がくるんですよね。なぜ事前に連絡しない??

事前に連絡できない理由、これは上に書いた「仕事がいつ終わるか予想できない」「過集中で連絡することなんて思いつきもしない」というのが大きいと思います。でも、もしかしたらもうひとつ、罪悪感もあるのかも。

「今日もうちに帰れない」と分かったときに「ナルミがまた怒る」と想像してとっても後ろ向きな気分になり、「連絡しなきゃ」と思いつつもズルズル後回しにして朝を迎える…みたいな。

私が怒っているのは「連絡がないこと」であって「外泊すること」ではないんだけど、そのあたりがよく理解されていなかった可能性があります。

あまりにもこれが続くので、ある時「私が本当に怒っていることを伝えなければ」という思いにかられ、行動に出たことがあります。

といっても、怒鳴ったりすれば夫はフリーズするだけで話は前に進まないとわかっていました。

それで、「あなたが私の頼みを無視するなら、私だってあなたの存在を無視するわ」ということで、夫の食事を作るのをやめ、(ベッドではなく布団を並べて寝てたので)夫の布団を敷くのもやめて、一人で寝ていたんです。

これで「ゴメン」くらいは言ってくるかな、と思ったのですが甘かった…。

なんとそれから一週間ほど、夫は私たちの寝室ではなく自分の部屋で寝起きしていました。食事も、自分でなんとかしていたようです。家の中でほとんど顔を合わせることがなくなりました。

私は毎日、「今日こそ『ゴメン』て言ってくるかな」と待ったけれど、とうとうしびれを切らして自分から話かけました。

その時、「ねぇ、私がなんで怒ってるか分かってる?」と一応聞いてみたら、答えは「分からない」でした。

もう、ガックリですよ。

理由も分からず、一週間も家庭内別居のような生活を続けていたのか…。

分からないなら聞いてよ! と思いましたが、きっと夫の中では「ナルミが怒っているらしい」というところで思考停止、「触らぬ神に祟りなし」ということで、なるべくひっそりと過ごしていたのでしょう。

私は「これが初めての本格的なケンカになるかも」「これを機に言いたいことを言い合えるかも」と考えていたのですが、そんな期待はあっさり裏切られたのでした。

わけわからないながらも、パターンは把握した

夫が大人の発達障害かも、と気づくまでは、「どうしてそうなるの?」と分からないこと本当に多かった。

ただ、行動パターンは一貫しているので、理由が分からなくて気持ち悪いけれど、そのパターンを把握して対処することはできるようになりました。

夫の分の夕ご飯は作らない。連絡なしに外泊しても、仕方ないと諦める(無事なのかどうか、朝に連絡して確かめる)…とかね。

他に、夏休みや年末年始の予定は直前まで決まらない、というパターンもありました。

夫の場合、長期休みの過ごし方には割とこだわりがあるというか、行きたいところはいろいろあって、自分で決めたがるんです。だから、私が決めてしまうということはできません(私が計画を立てても、直前に覆される!)。

そうなると、事前に新幹線や飛行機を予約するのは無理です。直前に空いているホテルや民宿をバタバタと予約し、車で出かけるのが常でした。

私はどちらかというと、早めに予定を決め、現地でも効率よく動けるようにいろいろ調べていきたい方なので、これはかなりストレスでした。

でも、どうしようもないので、夫婦での長期休みは彼の気まぐれに付きあうものだと割り切ることにしました(自分が行きたいところには、ひとりで、あるいは友だちと行きます)。

そんななかでも、ひとつ編み出した作戦があります。

早く予定を決めてほしいとき、行き先の候補が少しでも分かったら、宿泊場所などをこちらで調べて「これはどう? 良ければ予約しちゃうけど?」と言ってみること。そうすると、ようやく夫のスイッチが入って他に良いところがないか探し始め、そのまま(私が見つけたのとは別のところに)予約を入れたりすることが多いです(笑)

「やらなきゃ」と思っていることをズルズルと先延ばしにし、「ヤバい!」と思うまで動かない。この「ヤバい!」の状況をいかに作り出すかが、こういう人と付き合うときのポイントかもしれません。

※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。

私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。

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