特性を感じるエピソード(5)(妊活中)
夫について、「そういえば、あれは大人の発達障害の特性だったのかな?」と思えることを書いてきました。
・特性を感じるエピソード(1)(結婚前編)
・特性を感じるエピソード(2)(結婚直後)
・特性を感じるエピソード(3)(単身赴任中)
・特性を感じるエピソード(4)(初めてのケンカ?)
私達は子供がなかなかできなかったので、ここまでに結婚から8年ほど、付き合い始めてからは10年以上経っています。いろいろとモヤモヤを抱えながらも、夫婦であること自体には疑問を持たずに過ごしてきた日々でした。
この時点で「この人は大人の発達障害かも」「彼の困った行動は、今後も変わらないのかも」と気づいていたら、もしかしたら子供を持つことを迷ったかもしれません。でも、この時点ではそういうことには全く思いいたらなかったのです…。
ストレスフルだった妊活
結婚した当初は1,2年のうちに自然に子供ができるものと思っていたのですが、気づけば5年以上経っていて、その頃にやっと「あれ、もしかして不妊症?」と思うようになりました。
それで不妊治療専門のクリニックで検査したところ、特に異常は見つからず。それでも結婚して数年も妊娠しないのであれば、ということで「タイミング法」で妊娠を目指すことになりました。
タイミング法というのは、月経周期に合わせてクリニックを受診し、医師がエコー検査で卵胞の状態を見て予想した排卵日前後に「タイミングを取る(=セックスする)」という方法です。
タイミング法に非協力的な夫

受診した日に卵胞の成長具合がいまいちだと「明後日また来て」みたいなこともあって、仕事を休んで度々クリニックに行かなきゃいけなかったりするのが大変。でもそれより何よりしんどかったのが、医師に「3日後にタイミングを取って」とか言われた後、夫に「3日後です」とか「今日です」とか連絡してセックスを促すことでした。
その頃はそもそも回数が減っていたし、付き合い始めの盛り上がってた頃も、夜にすることってほとんどなかったんです。
以前
夫は寝ても寝ても寝たりないほど、常に疲れているんですよね。いろいろと人とは違う特性を持ちながらも「普通の人」として普通の会社で働くのは、ものすごく大変なことなんだと思います。
と書いたんですが(特性を感じるエピソード(2)(結婚直後))、夫はとにかく夜は起きていられなくて、気がつくと寝ている。セックスするのは、週末の朝、目が覚めても布団の中でウダウダしているようなときでした。
でも、タイミングというのが都合よく週末の日に当たるわけもなく、平日の朝はそんな時間はないから、夜にしてくれなきゃ妊娠チャンスを逃しちゃうんです。
「◯日がタイミングの日だよ」とLINEで送った私は、その日の夜をソワソワしながら待っているのですが、夫の方は意識して早く帰ってくるでもなく、帰ってきたと思ったら普通に寝始めたりして、こっちは「えぇっ!?」となる。
「あなたも子供欲しいんだよね? どうして?」と聞いても、なんだかめんどくさそうにやっと1回応じるか、「うるさいな!」と言わんばかりの態度で背を向けて寝てしまうか…。
子供が欲しいというのは夫婦の共通の願いのはずなのに協力してくれないという悲しさ、
そして「そもそもセックスを嫌がられている? 私としたいという気持ちはもうないの?」という戸惑いや寂しさで、本当に辛かった。
不妊治療の本にも書いてあるし、医師からも言われることなのですが、タイミング法で妊娠確率を上げるには、本当は「排卵が予想される日」だけじゃなく、その前後の何日かもセックスするのがいいんです。でも「その日」だけでもこんな態度を取られるのに、その前後数日までお願いする気にはなりませんでした。
そして、次の生理が来るたびに「今回も妊娠できなかった。だって、あの日1回しかしてないもんね…」と思うわけです。心が折れそうな日々でした。

子供が欲しいはずなのに、なぜ非協力的だったのか
結局、1年くらいタイミング法を続けても妊娠できず、不妊治療の次のステップである「人工授精」を2度やって、私達は子どもを授かりました。
人工授精というのは、やはり排卵日を予想した上で、男性の側が一人で精液を採取し、それを医師が培養液で洗浄濃縮して子宮内に注入するという方法です。
これに関しては、夫は逃げたり無視したりせず協力してくれました。
こちらからすると、タイミング法よりこっちの方がよっぽど嫌なんじゃないかと思ったのですが、夫の気持ちはわかりません。精液を採取するのはクリニックに行く日の朝。夜にセックスするよりも良かったのでしょうか…。
当時は、不妊治療に対する夫の態度が理解できず、私は本当に混乱していました。今になって考えてみれば、夫は子供が欲しいという気持ちがそこまで強くなかったのかもしれません。
特性を感じるエピソード(1)(結婚前編)に、彼が私に「結婚しよう」と言ったのは「このくらいの歳になれば、恋愛のゴールは結婚だ。そこまで行かなきゃ」という思い込みのようなものがあったからなんじゃないか、と書きました。子供に関しても、「結婚したら子供を持つものだ」という固定観念があって、深く考えることなく「子供は欲しいよね」と言っていたのかな、と思うのです。
彼自身、「自分は子供が欲しいんだ」と思っていたけれど、心の奥底ではどちらでも良かった。だから、私と同じようには、不妊状態を脱することに一生懸命になれなかったのかもしれません。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。