ASD疑いの夫とのコミュニケーション、自分の努力ではもうどうにもならないと思う理由
前回の記事を書くときに「カサンドラ症候群」の定義をちゃんと確認しておこうと思って検索したときに見つけた「カサンドラ症候群?」という記事があります。
心療内科、神経科、精神科の先生が書いたもののようですが、ここに書かれている大人の発達障害の人の特徴と、それゆえのコミュニケーションの難しさについての説明に、首がもげそうなほどうなずいてしまいました。
大人の発達障害の人の辛さ
まずはこの記述。
発達障害者は、幼い頃から自己肯定感が著しく低い。そのため、周囲の反応を即被害的に捉え、「やっぱり自分は駄目だ」と心を閉ざし、気づきの機会を逃しやすい。また、何事も「~のはず」と思い込むばかりで現場感覚が浮かばず、身も心もくたびれやすい。(1)周囲の刺激ですぐ混乱する(2)思いつきで突っ走り突然失速する(3)感情の振り切れや体の不調で寝込む、はしばしばである。
カサンドラ症候群?
上に書いてある(1)(2)(3)、うちの夫もそうで、外で疲れ果ててるから、うちでは無表情だし寝てばっかりいるんですね〜。
以前は、なんで私の前で仏頂面してるのか、なんでいつもいつも寝ているのか、本当にわからなかった。
それが「夫は大人の発達障害かも」と気づいて色々と調べるうちに、「なるほど、そういうことか〜。じゃあ、しょうがないなぁ」と思えるようになっていったんです。ものすごく疲れているのに、愛想よくテキパキ動くなんて、無理だよねって。
理解はしても私の辛さは変わらないか、余計に辛い

不可解だった夫の態度や行動の理由がわかって一度はスッキリするのですが、だからといって私のモヤモヤが晴れるわけではない。というか、以前は「こういう夫とも、気持ちよく一緒に過ごせる日がくるはず」と信じていた自分がいたのですが、「これって発達障害だからなのか」と分かったことで、「いつまで経っても変わることはないんだ」という絶望感を感じることになりました。
そんな相手に最初は配偶者も同情する。やがて、負担の増大だけでなく、無愛想、物忘れ、曲解、約束不履行が続けば、「ここまでとは思わなかった」と爆発する。配偶者が「念押し」や「注意」を強めると、本人は「監視されている」と怯え表情を固くする。配偶者が最後のお願いを訴えても、相手をそこまで追い詰めた自覚がないので激情するばかりである。息を飲むピリピリ感に関係修復もなかなか難しい。
カサンドラ症候群?
私は、上に書いてあるような「爆発」はしていない。だって、爆発なんかしたら夫はもっと殻に閉じこもってしまうか逃げていくと分かっているから。
いくら悲しくても、イライラしても、それを表に出すことができないという状況に、さらに閉塞感を感じる日々でした。
対処法を試みるも、時すでに遅し?
この記事では、発達障害パートナーへの「対応例」として以下がリストアップされています。
1) 用がある時だけ関わる(相手は休息を多めに要するので、一人の時間を保証してあげる)
カサンドラ症候群?
2) 「どうしたらいいか」をまず伝える。(「背景」や「考え方」は後で追い追い伝える)
3) “不機嫌で面倒臭そうな”態度の時はそっとしておく。(多くは“エネルギー切れ”や“不甲斐なさ”)
4) 迷った時は関わらない(相手に当たってしまい感情的な対立を煽るだけ)
5) 相手ができない事はあっさり引き受け、小分けして対処する。(先々考え込むと潰れやすくなる)
6) 要求内容は自分の考え方として具体的に伝える。(漠然としたべき論は被害的に反応されやすい)
こういうの、もう全部やってるんです。特に6)、爆発しないで冷静に、要求を伝えるようにしています。
でもね、もう遅いのかなと思うんです。
いくらがんばって非難がましくならないように淡々と伝えても、夫にとっては「妻がなにか言ってくる=なにか不満があるんだ」と捉えて、向き合わずに逃げていくんです。
カサンドラ状態の妻さんたちがよく「ASDの夫から敵認定されたら、もう何を言っても通じない」とTwitterなどでつぶやいていますが、本当にその状態。
敵認定と言っても、夫の方から積極的に攻撃してきたりはしないんだけど、私と向き合うことに恐怖を感じているみたい。本当に自分に自信がないんですね。
私が不満を持ったり怒ったりするのが怖いのなら、そうならないようにできるだけのことをすればいいのに、と思うのだけれど、最初の引用文にある通りとても自己肯定感が低いから「できない!」という思いばかり膨れ上がって、「どうしたらできるだろう」と考えることができないんだと思います。

私には、解決はできないのかもしれない
少し前までは、なんとか「敵認定」を解除してもらおうと、「私は怖くないよ」「怒らないよ」ということを伝え、話を聞いてもらおうと頑張ってきたのですが、夫にはそれすら通じない。
私の努力でこの状態を変えるのは、無理なのかなと思うようになりました。
多分、夫に必要なのは「認知行動療法」(自分が自動的に行なっているものの見方を意識し、それが自分の感情や行動にどういう影響を及ぼしているかを知り、自分の見方と現実のズレに気づいて、もっとラクになれるものの見方ができるようにトレーニングしていく治療法)とか、カウンセリングなんだと思います。
でも、そういうのって本人が必要だと思わなければ、無理やり受けさせることはできません。
夫のものの見方が変われば、本人が相当ラクになるのではないかと思うんです。だって、妻は別に敵ではないと思えれば、怖いものがひとつ減るわけですからね。
でも、自分のものの見方が自分を苦しめているんだよ、と敵認定されている私が言ったって届かないわけで、誰か協力者でも見つけないとこの状況は変わりません。
そのためには、私が困っている状況を理解してくれる協力者が必要で、そういう協力者を得ることが難しいカサンドラゆえ、また悩みが深まるのでした…。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。