大人の発達障害疑いの夫との別居を考え始めたきっかけ
前回の記事では、私が考える愛と夫にとっての愛(?)の違いについてウダウダと書き連ねました。
最初は「ASDのパートナーは愛情がないわけじゃない」という本や記事のアドバイスを信じ、夫には愛情があるんだと考えようとしいた私ですが、「違うんじゃないか」と思うようになったのは今から3年ほど前のことです。
私を嫌っているとしか思えなかった夫の態度
「特性を感じるエピソード(8)(子育て〜幼児期)」に書いた、家族3人で食事していても夫だけ別世界にいるような状態が、この頃は際立っていました。
今思えば、その頃は夫の職場がゴタゴタしていて、彼は完全にそっちに気を取られていたし、それでかなり疲れてもいて、家族に気を使うどころではなかったのだと思います。
そんな事情を知らなった私は、夫から会話に入ってくることは一切なく、こちらから話しかけても「あ、そう」とか「へぇ」という気のない返事しかしない、なにか問いかけても「知らない」「分からない」と短い答えを返すだけでそれ以上会話を続ける気もなく、目を合わせようともしない、そんな夫の態度にかなり傷ついていました。
夫のそういう態度、実はとても身に覚えのあるものだったんです。
私は子どもの頃、母親にかなり反抗していて、ちょうど上に書いたような態度をいつも母に対して取っていたのです。
あからさまに暴言をはいたり、徹底的に無視したりすれば父親に怒られる。だからそこまで露骨なことはせず、でもなるべく会話を避けていました。
母が笑顔で話しかけていても、こちらは無表情で「ふーん」と答えるだけで終わらせる。母がテレビを見て笑っていても、私は「何が面白いの」みたいな感じで無視する。
一切共感しない、まるでASDの特性があるかのような態度ですね(笑)。

夫の態度に”意図”はないと分かっても…
子どもの頃の母に対する感じの悪い態度は、「母を傷つけてやろう」という悪意から生まれたものでした。
だから、私に対してそれと同じような態度を取る夫にも同じ悪意があるんじゃないかと、最初はそう思い、悲しくなったのです。かつて母にひどい態度をとったことの罰を受けているんじゃないかとも思いました。
でも、「夫が大人の発達障害かもしれない」と気付いて色々と勉強するうちに、夫の態度や行動には悪意どころか意図もないんだろうなと理解するようになりました。
単純に、ほかのことで頭がいっぱいで家族を気遣う余裕がない。それが態度に出てるだけなんだと。
でもね、理解したからスッキリ、というわけにはいきませんでした。
目の前でそういう態度でいられると空気が重〜くなるし、夫婦で会話を楽しめないって何なの? という思いは拭えません。
もう、会話を楽しむことはあきらめたとしても、やっぱり伝えなきゃいけないこととか確認することなんかがあって話しかける必要があることもあります。そんなとき、「今だったらこっちの言うことが頭に入るかな」「ちゃんと答えを返してくれるかな」と最大限に気づかいながら話しかけるのは、本当に疲れるんです。
夫が10日間の出張の間に味わった開放感

そんなさなか、夫が10日ほど出張に出ました。
平日も週末も夫がいないその期間は、本当に気持ちが開放されました。
子どもが小さくて、私が用事のあるときは夫に面倒を見ていてと頼むこともよくあった時期なので、出張が始まる前は「10日間ワンオペ育児か、大変そうだな」と思っていたんです。
でも実際にやってみると、夫のことに煩わされず子どもの相手だけしていればいいのは、実はとても楽だと気づいてしまいました。
普段は夫が家にいないときも、「今日は何時頃帰ってくるんだろう。夕飯はいるのかな、どうなのかな」、「まだ帰ってこない。会社に泊まってくるつもり?」とかしょっちゅう考えていて、全く連絡してこない夫にイライラしていました。それが出張でしばらく帰ってこないのだと分かっていれば、そういうことは一切考えなくていいのです。
「ずっとこの状態が続けばいいのに!」と思いました。
そこから急に「別居」という選択肢があることを思いつき、自分がカサンドラにならないためにも、なんとか別居できないかなぁ…と考えるようになったのでした。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。