別居せず一緒にやっていくために話し合いを試みたけれど

前回の記事では、夫の10日間の出張中はとても気持ちがラクだと気づいて、初めて別居の可能性を考え始めたことを書きました。

でも、それは「そういう可能性もあるな」と気づいただけであって、すぐに別居を望んだわけではありません。

そのときはまだ、一緒にうまくやっていければ、と思っていたのです。

子どもを預けて話し合いに挑んだ

前回の記事で書いたとおり、家庭内での夫の態度はどんどん感じの悪いものになっていき、自分の精神状態のためにも、子どもへの影響を考えても、「このままではいけない」と思いました。

それである日、休みの日に義母が子どもを預かってくれると言うので、夫をランチに誘いました。

その頃は2人でどこかに出かけることなんてほぼなくなっていたのですが、食いしん坊の夫に「ランチに行ってみたいお店ある?」と聞いたら乗ってきました。

夫が希望する店に向かう車の中で、私は話を切り出しました。

ASDっぽい特性で、私が感情的に話すと内容が頭に入らないらしい夫。だから、なるべく淡々とロジカルにと意識して、次のようなことを伝えました。

(1)最近の夫の態度に寂しさを感じている

(2)夫は自宅にいても仕事関連の本を読んだりして会社のためにとても努力していると思うけど、夫婦関係を良くする努力もしてほしい

(3)以前に夫が10日間出張に行っていた時、私はとてもラクだと感じた。別居したらラクになれるのではないか、と考えたほど。

(4)今は別居したいとは考えていない。このまま家族でありながら関わり合いを薄めてストレスを減らすというのは寂しい。できれば歩み寄ることでストレスを減らす方向にいきたい。

夫は、車の中ではほぼ無言でした。

予想外でずるい夫の反応

ランチの店についてからも、私が話したことに返事をしてくれる気配はなし。

私は、冷静にロジカルに話せば、夫は私が困っていることを理解して対応策を考えてくれるものと思っていたので、この時点でかなり動揺してしまいました。

それで思わず、「これからも夫婦関係を続けていきたい?」と聞くと、長い長い沈黙。でも、なにか言おうとして迷っている様子に見えました。

ますます不安になって「別れたいってこと?」と聞くと、やっと「別れたほうがいいかもね。一緒にいることで、ナルミがイライラするんなら」という答えが。

「別れたほうがいいかもね」とか、「ナルミがイライラするんなら」とか、ずるいですよね。

夫自身はどうしたいのかが全然伝わってこない。ナルミに従う、という態度。

もし「もう別れたくてしょうがない。なんでもいいから別れてくれ」という人にとっては、こういう夫の態度はラクでいいだろうけど、私はそういうわけじゃなかった。

夫に家族を思う気持ちがあるならそれを汲み取って上手くやる方法を探したかったし、もうすっかり冷めてしまって一人いなりたいというなら、別れる可能性を考えるのもありだと思っていたんです。

「相手の気持ち次第」というのは夫も私も同じといえば同じなんだけど、でも、夫は自分の気持を見せずに全部私が決めたことにしようとしている。私が別れたいと言うなら仕方ないという態度。それはずるいと思うんです。

夫の本心は結局わからず

大人の発達障害のパートナーを持つ人向けのアドバイスなんかで、特にASDの人には相手が困っていることが伝わりづらいから、家を出ていくとか、「別れる」と言うとか、そこまでしたらこちらの困り具合が伝わるかも、というものがあります。いわゆるショック療法というやつでしょうか。

でも、うちの夫の場合は、「それは困るよ、改善するよ」みたいな反応にはならなかった。

もしかしたら、「そこまで困ってるのか(イライラしてるのか)」とは理解したかもしれないけれど、別れなくても済むように、行動しようとか話し合おう、ということにはならなかった…。

定型発達の相手が「別れたほうがいいかもね」なんて言ってきたら、「ああ、もう夫は私への愛情がないんだな」と理解して良いんじゃないかと思います。あるいは、売り言葉に買い言葉というやつで、ここからバーンと派手に言い合いをして、もっと本音をぶつけ合って解決に向かうか、やっぱり別れるしかないね、となるか、みたいなフェーズがあると思うんです。

でも夫の場合、私の言ったことを吸収して、(夫なりに考えた)一番波風が立たなそうな反応を返しているだけのようで、本心はどこにあるのか全然わかりません。

これは私の想像ですが、私が車の中で(1)〜(4)を話したときに、(3)のところで「別居したらラクになれるかも」という発言をしたのが結構ショックだったのかも。

そこでガーンとショックを受けて、(4)の「別居したいわけではない」という話が頭に入っていかなかった。それで、「ナルミは自分から離れたがっている。だったら自分にはどうしようもない」という思考になってしまったんじゃないかと思います。

「10年後、どんな家族でいたい?」と聞いても「分からない」

それでもなんとか食い下がって、「いやいや、別に別れたいと思っているわけじゃないんだよ」と前置きして、夫に「10年後、どんな家族でいたい?」と聞いてみました。

今日や明日、夫婦仲を改善しましょうというのが難しくても、10年も先のことなら自由に理想を話せるかな、と思ったんです。

でも答えは「想像できない」。

そうでした。先のことを想像するのが苦手なのがASDの特性でしたね…。

具体的に要望を伝えても「できない」と言われる

「歩み寄りたい」と思っても、夫の希望が何一つわからないから、どこに向かって歩み寄ればいいのかさっぱり分かりません。

仕方ないから、私の方から具体的な要望をひとつだけ出してみることにしました。

「食事中は自分の世界に入らないで、家族と会話して」と。

夫の返事は「最初はできるかもしれないけれど、そのうち元に戻ってしまうと思う」でした。

自分が変わるということを拒否し、できない約束はしない夫なのでした。

ふたりでじっくり話し合いをすれば、少しは良い方向に行けると思って夫を誘い出したのですが、まさかこんな結果になるとは…。ランチの席で涙が出そうになりました。

※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。

私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。

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