発達障害者支援センターで、大人の発達障害を理解しきれていないと思い知った
「別居したいけど、それでいいんだろうか…」と迷いまくっていたけれど知り合いに相談するのも難しく、地域の発達障害者支援センターに相談してみようと思い立ちました。
発達障害者支援センターとは?
「発達障害者支援センター」は、発達障害者やその家族等に対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供等を行う施設で、都道府県・指定都市または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。
私の住む地域にも支援センターがありまして、ホームページには「発達障害のある(または疑いのある)本人や家族からの相談を受けている」とありました。年齢も問わないとのことです。
発達障害者支援センターへの相談予約の手順
以下のような手順で相談の予約をしました(施設によって、方法は異なると思います)。
1.電話をしてどんな相談をしたいのかを簡単に伝える
2.メールで申し込み書類が送られてくるので、発達障害者(または疑いのある)本人の生育歴、現在の状況、相談したい内容を記入して返送。
3.センターから予約可能な日時が送られてくる。
4.送られてきた日時でOKならその旨返信すると、予約完了。(都合が合わない場合は、再度調整)
電話をしてからすぐに申込書類が送られてきましたが、予約日は1ヶ月以上先になりました。なるべく早く相談したい気持ちでしたが、こればっかりは仕方ないですね…。
発達障害者支援センターで相談してアドバイスされたこと

予約の時間は1時間です。
センターでは、相談員の方が一人、誰もいない会議室に案内してくれ、事前に送っていた書類を確認しながら、私の話を聞いてくれました。
そのときに伝えたのは、夫が家では本を読んでいるか寝ているかで食事中などでも家族とコミュニケーションを取ろうとしない、部屋が片付けられない、ものすごく本を買い込んでいる…といったこと、そして私としては別居を考えているけれど、彼にとってそれが良いことなのかどうか相談したい、ということでした。
相談員の方は、「発達障害かどうかを判断することはできないけれど、もしそうだと仮定して…」という前置きをつけてアドバイスをくれました。
その方は、夫の仕事内容や働き方について私に確認した上で、「旦那さんは仕事をするだけで相当に疲れていて、それ以上のエネルギーが残っていないのではないんじゃないかしら。
家でいろいろ要求されると『こんなに頑張っているのに、これ以上無理』という気持ちになっているのかも」と言いました。
相談員の方の話を聞いてわたしは、「思っていた以上に、本人は大変なのかもしれないな」と感じました。それまでに「大人の発達障害」についての本を何冊も読んだりして、だいぶ理解していたつもりでした。私がやってほしいと思うことをできないのは、「やる気がないんじゃなくて無理なんだ」と分かっているつもりでした。でも、その「無理」という状態を想像しきれていなかったな、と。
私は、「そんなに仕事ばっかりしていて、健康を害したり家族が離れていったりしたら、元も子もないよ」と夫に話していました。でも夫にしてみれば、会社で人並みの評価を得るにはそれくらい働かなければどうしようもない、という状態ないのかもしれないな、と思いました。残業して初めて首にならないレベルのことができているのかも。そうだとしたら、「もっと効率的に仕事して、家族との時間を増やして」なんてい言うのは、酷なことですよね…。
それまでは「言っても無駄だから」「一生懸命伝えるこっちが疲れるから」という理由で、夫に何も言わなくなっていましたが、そうではなくて「もう、楽にしてあげたい」という気持ちになりました。「無理な期待なんかしないし、別に何もしてくれなくていいから、あなたの好きなように過ごしていて」と。
ただ、夫が好きなように過ごすためには、一緒にいる私は我慢するばかり、してあげるばかりになってしまう。それでは持たないから、やっぱり、別居するのが正解だという気持ちが強くなりました。

別居の切り出し方についてのアドバイスももらった
相談員の方からは、「ご主人は一人暮らしになったら、自分で生活のことができるかしら」と心配されました。
当時は、別居したら夫には義両親の家に住んでもらおうかという考えもあって、それを相談員の人に言ったら「それなら、安心ね」という反応。義両親の年齢を考えるとずっとというわけにはいかないけれど、当面はそれがいいのかな〜という気持ちが強くなりました。
もうひとつ、「別居したい」ということをどう伝えればいいか、という相談もしました。今までの話し合いの中で夫の方から「別れたほうがいいんじゃない」発言もありましたが、実際に私から「別居しよう」と切り出せば、「どうせ俺はダメなヤツだよ」みたいな受け止め方をして殻に閉じこもってしまうんじゃないかと思いました。そんなふうにはなってほしくなくて…。
相談員の方からは、別居を前向きに捉えてもらうために、「今まで無理なことを要求してしまってごめんなさいね」とこちらから一旦謝り、その上で「お互いに良いあり方を模索するため」という目的をよく伝えてから別居の話をするのがいいんじゃないか、という提案をもらいました。
謝るのか、なるほど。
確かに、全然理解できてなくてごめんねという気持ちはあるけれど、夫は謝罪を素直に受け止めないだろうな、と予想しました。多分、彼は「無理なこと」がたくさんある自分というのを認めたくないんです。だから、「無理なことを要求してきてごめん」と言われても、「は? 何が?」みたいな反応をしそう…。
そんなわけで、別居についてどう切り出すか、あんまりこれといったヒントは得られなかったものの、この相談以降、私は夫に「何も期待しない」という気持ちがとても強くなったのでした。夫が家でなにかやらかして私の家事の手間が増えたりするとイラッとはしますが、前のように「もっと手伝って」とか「なんでこれくらいのこと、やらないの」みたいなイライラはあまり感じなくなりました。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。