夫に別居の提案をしたときのこと
夫と家族でいながら私の精神的安定を得るには、別居しかないと考えるようになりました。
その当時、子どもは保育園の年中さんで、小学校はある私立の学校に通わせたいと考えていました。そこで、子どもの入学のタイミングでの別居を提案してみることにしました。
義父母や周囲の人たちになんと言うか
子どもを入れたいと考えていた小学校は隣県にあり、通学のためには引っ越しが必要でした。
その小学校への進学は夫も賛成していて、当初は家族全員で引っ越すつもりだったのですが、ここまでの夫婦間のやり取りから、私が「子どもが小学校入学のタイミングで別居しよう」と言えば受け入れるだろうと考えられました。
問題は、周囲の人たちになんと言うかです。
離婚なら、「離婚します」「離婚しました」と報告し、色々言われても「二人の問題ですから」で押し通すしかないと思います。でも、「夫婦関係が困難で別居します」とは、わざわざ他人に公表する必要もないでしょう。言えば、余計な心配だとかアドバイスだとかを受け止めなければなりません。
ただ、別々に暮らすということは近しい人には言わないと不都合があるので、なにか理由をつけなければいけません。
子どもを隣県の小学校に行かせるということは、かろうじて理由になりそうでした。みんなで引っ越しするのが普通だとは思いますが、「夫の通勤が大変になるので、とりあえず単身赴任のような形でやってみます」とかなんとか言えば……。
夫に伝えるべきこと
単に「別居しよう」と言えば、夫はきっと受け入れるものの、「ナルミに見捨てられた」みたいなネガティブな受け止め方をし、ますます内にこもるだろうと思いました。そうなると、別居までも別居後もコミュニケーションがより難しくなり、いろいろな手続なんかもやっかいになりそうです。
そこで、「別にあなたを見捨てるわけじゃない。これはあなたにとっても利益のあるポジティブな提案です」という伝え方をするべきだと思いました。
また、別居をすれば、夫は一人で好きなように過ごす自由を満喫するだろうことが予想されました。それはいいんだけれど、自由すぎて父親の自覚を失われるのは困る。ちゃんと家族との関わりを保つ約束をしてもらう必要があると考えました。
また、別居となるとこれまでよりも生活費がかかります。住んでいた家は家族向けの賃貸なので、夫にも引っ越してもらい、夫の生活費と私と子どもの生活費をどう分担するかなど、きちんと決めておく必要があります。
「相談」ではなく「提案」という形で

こういうこと、ひとつひとつ「どうするのがいい?」と話し合って決めるのが私が考える理想の夫婦なのですが、夫と話し合って決めるのは無理です。よく考えもせずに「◯◯で」とか「そうすればいいじゃん」とかの一言で終わりにされ、私は「え、それでいいの? もうちょっと良く考えたいのに」とモヤモヤする、というのがパターンです。
だから「相談」は諦めて「提案」です。
私の方でじっくり考えた結果を紙に書き出し、「これでいい?」と夫に読んでもらうことにしました。
まず、別居の目的として「夫と私と子どもの全員が居心地のよい家族関係を保ち、幸せに暮らしていくため」と書きました。
以前に夫に「私のことが嫌なの?」と聞いたら「居心地は良くない」という回答があったことから、「居心地」という言葉を入れてみたけれど、夫、たぶん覚えていないかな……。どちらにせよ、「これはポジティブな選択なんだよ」ということを伝えたかったのです。
「期間」という項目も作り、「未定。1ヶ月に1回、別居を続けていくかどうか話し合う」としました。これも、「別に、ずっと離れて暮らすと言っているわけじゃないんだよ」という伝えることで、ネガティブに受け取られることを回避しようという意図です。
それ以外に、居住地、別居中の連絡や頻度、生活費と教育費の分担、別居について周囲の人への伝え方などについて箇条書きにしました。
ちなみに居住地については、夫には夫の実家に住まわせてもらうことを提案しました。当時住んでいた家から車で30分くらいで、通勤にも便利な場所だったからです。

夫の反応
子どもがテレビに熱中しているタイミングを見計らい、夫に紙を渡して読んでもらいました。
読み終わった夫に「どう?」と聞くと、「いいんじゃない」と一言。
それだけですか……。予想はしてたけどね。
ありえないけど、「そうだよね。別居してみて、家族みんなが居心地よくいられる方法が見つかると良いよね」というのが理想の反応。ありえないけどね。
「やっぱり別居はしたくない」とか「このルールはやめてほしい」とか、そういう反応でも、ないよりはマシです。夫がどうしたいのかが、少しでも垣間見られるわけですから。
でも、無表情に「いいんじゃない」だけだとポジティブに受け止めているのか、嫌々同意しているのか全然わかりません。
その後、彼の態度はそれまで以上に家族に対して投げやりな感じで、別居のことをネガティブに受け止めたんだなぁと感じました。不満があるなら言ってくれれば、そこから私たち両方が納得できるやり方を考えられるかもしれないのにね。彼が「もう、どうにもならない」と諦めていることが伝わってきて、腹立たしくも悲しくもあり、彼の無力感が哀れだな、とも感じました。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。