別居に向けた義父母とのコミュニケーション
別居に向けて夫の合意を得た後、義父母にどう伝えるかを考えました。
夫には、別居の仕方(住む場所など)や別居中のルール(お金の分担や会う頻度など)のほか、周りの人にどう説明するかも含めて私の考えを紙にまとめて渡していました(反応は「いいんじゃない」の一言)。
その中に「それぞれの両親に対してどう伝えるかは要検討」と書いていたのですが、特に夫からの意見もなかったので、まずは義母に話してみて、その反応で義父にも言うかどうか決めようと思いました。
義母の反応
義母に話したときのことは、以前に少し書きました。
かいつまんで書くと、子どもの小学校入学のタイミングで別居をするつもりであること。その理由として、私が夫の家庭での態度に問題を感じていることからお互いにストレスが高まっている状態であること。夫には発達障害の疑いがあって、話し合いで解決するのは難しいと思われることなどを説明し、発達障害に関する本(『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』)も渡しました。
義母は本を持ち帰って読んでくれましたが、結果的には私の考えを受け入れず(本に書かれていることに多少当てはまる部分はあるけれど、息子の個性の範疇。病気なんかではない、という認識)、「別居なんて言わないで、単身赴任だと言ってね」と言いました。別居を選択せざるを得ないほどに夫婦の間に問題があるという現実から、目を背けたわけです。
義母は「お父さん(義父のこと)にも、別居とは言わないで」と言いました。私も、義母がこれでは、義父に理解してもらえるとは到底思えませんでしたので、その点については同意です。
息子は寂しいはず、と心配する義母

「別居なんて言わないで、単身赴任だと言ってね」と言った義母でしたが、その後、単身赴任だとしても離れて暮らすことが心配なようで、「息子は寂しいだろう」とか「一人暮らしは健康面でも心配だ」といったことを何度もメールしてきました。
妻と娘と離れて寂しい?
そんな感情をこれっぽっちも見せない夫だから、別居しようとしているのに。
夫は大学を卒業するまで実家で暮らしてきました。義母は夫と20年以上一緒に過ごしてきたのに、一人の世界にこもるのが好きな夫の特性に気づかなかったのかしら…と不思議に思います。
義母は、私を含む親族のことを常に気にかけて世話を焼く人です。「家族は支え合って生きていくもの。離れて暮らすのは寂しいはずだ」という固定観念が強すぎて、夫が冷たい態度をとっても「恥ずかしがっているのね」くらいに思ってきたのかもしれません。
私を呼び出し説教した義父
義父には「別居」とは言いませんでしたが、子どもの小学校入学を機に引っ越し、夫は単身赴任状態になるという話をしました。
以前から「この小学校に通わせたい」という話をしていたので、その日は「そうか」という反応だったのですが、翌日には「引っ越しのことで、次の週末に話をしよう」と呼び出しの連絡がありました。
夫は両親からの連絡も全部無視するので、義母も義父も用事があれば私に連絡してきます(これもストレスの元!)。
このときも私宛にメールが来たのですが、家族の話であればと「夫さんも一緒に行った方がいいですよね?」と返信すると「ナルミさんだけでいい」と。
え? と思いましたが、子どもは連れて行かない方がいいような気がしたこともあり、夫と子どもを家に残して、私ひとりで向かいました。
待ち合わせの喫茶店には義父と義母が待っていましたが、義母はほとんどしゃべることなく、そこから2時間、義父が喋り続けました。
一番最初に「もう大人であるふたりが決めたことだから、その意志は尊重するが…」と言ったのですが、その後は延々、私たちのやろうとしていることへのダメ出しでした。
そもそも子どもを通わせようとしている小学校はどうなのか? とか、引っ越そうとしている場所は暮らしにくいんじゃないかとか、夫が一人で生活するようになったら仕事のしすぎで身体を壊すんじゃないかとか、とにかく思いつく限りの反対の理由を並べ立てている感じでした。
もともと人の意見をちゃんと聞く人ではないので、私は「はい、はい」とうなずきつつ、最後は「夫さんと相談しますね」と言ってその場から逃げ出しました。

義父と義母の必死さに悲哀を感じた
まさか2時間もお説教されるとは(しかも夫ではなく私だけを呼び出して!)、最初は腹が立って仕方がありませんでした。
いくら息子夫婦だといっても、もう40を超えた大人に対して「そんなことは間違ってる」「どうせ失敗する」「自分の言うことを聞いておけば間違いない」みたいなことを言いまくるなんて、どれだけバカにしてるんだと悔しくなりました。
でも、しばらく時間が経つと、「お義父さんもお義母さんも、息子が心配で必死なんだな〜」と哀れさを感じるようになりました。
息子が40過ぎても子ども扱いなのは、彼がずっと子どもだったからなんだと思います。
夫が実家にいたときは、義父や義母が先回りして忠告したり世話を焼いたりすることで、彼の生活が成り立っていたのでしょう。義父母はそのことに慣れてしまって、大人になっても口を出したり手を出したりし続けることについて、おかしいと思っていないようです。
おかしいとは思ってはいないけれど、息子は世話を焼く人がいないと生活できないんだという認識もある。だから私と結婚することになって、「これで世話してくれる人が見つかった」とホッとしたのかもしれません。
ところが、その嫁が子どもを連れて夫のもとから離れていこうとしている。
「息子のピンチ!」ということで、義父母は必死になったんだろうな〜。だから、夫婦ふたりではなく私ひとりを説得しようとするんだろうな〜、と理解できました。
私は、子どもが自分の力で生きていけるようにすることが、親としての最大の責任だと考えています。だから、このときの義父母の行動を見て、根本的に考え方が違うと感じました。
それまで、「いい人たちなんだけど、なんだか合わない」と思っていたのは、かなりベースの部分で違っているからだったんだ、と納得しました。
なるべく手出しを避けつつ、引っ越しを強行
義父には「夫さんと相談します」とは言いましたが、頃合いをみて「ふたりで決めたことなので」と予定を変えないことを連絡し、粛々と別居の準備を進めました。
本当は引っ越し先の住所も秘密にしたいくらいですが流石にそういうわけにはいかず、引越し日や住所やらわりとギリギリに伝えるも、無駄な抵抗。義母は「引っ越しの日は一緒について行くわよ」と言ってきます。それをなんとか断って、引っ越しの前々日にみんなで食事をし、そのときに子どもからおじいちゃんおばあちゃんにプレゼントを渡させて、「また落ち着いたら会いましょう!(落ち着くまでは、そっとしておいてね)」という雰囲気を作って別れました。
引越し後もメールはしょっちゅう、ちょくちょく宅配便でいろいろなものを送ってきてなんとか関わり合おうとする義父母。そのあたりの話は、またおいおい書こうと思います。
※夫は、私から見て発達障害の特性に当てはまるものを多く持っているというだけで、医師の診断を受けたわけではありません。義母は特に疑問を持たずに育ててきたようですし、普通に就職して働いているので、検査しても診断は下りないかもしれません。
私は、今のところ夫が「発達障害かどうか」はあまり気にしていません。ただ、発達障害のことを知ってから、それに特性に近い個性や性質を持っている夫のことを以前よりは理解できるようになったと感じています。そんな私の視点で過去を振り返ったり、今現在の別居という形での夫婦のあり方の模索の様子をお伝えすることが、同じような悩みを抱いている方のお役に立てればと考えています。